トカラノコギリクワガタとは
トカラノコギリクワガタ(以下、トカラノコ)は鹿児島県の十島(トカラ)列島に生息しています。(私は、野生のトカラノコは見たことありませんが…)
形や大きさは、普通のノコギリクワガタ(以下、本土ノコ)とよく似ていますが、最大の特徴はその色でしょう。
本土ノコは赤くなるものが多いですが、トカラノコの場合はオレンジ色です。(時には黒化型とよばれる、真っ黒な個体もいます)
十島村昆虫保護条例の施行により、私的利益のための採集は禁止されているので、現在は野生のトカラノコを採ってきて飼うことはできません。専門店やオークションなどで、養殖ものを手に入れることはできます。
成虫の状態では、長くても1年ほどしか生きることができませんが、産卵させて増やすのは割と簡単です。
性格はやんちゃですが、それほど力強くはないので、♂に挟まれても大事には至らないでしょう。わざと挟まれるのをお勧めはしませんが…。
ファンが多いので、色々なサイトで情報を得ることができます。
成虫の飼育
成虫を飼育するために必要なもの。
ケース 昆虫飼育用として売られているものであれば、問題ないでしょう。
大きいに超したことはありませんが、小サイズでも1ペアなら飼えます。産卵させるのであれば、中サイズ以上が望ましいです。
マット 成虫を飼育するだけでしたら、クワガタやカブトムシ用のマットであれば、どれでもいいです。虫に害がなく、足場になったり潜ったりできるようなものであれば、何でもいいと思います。
本土ノコ同様、水分は多目がいいと言われていますが、マットを強く握ると、水分が滲み出る程度で十分でしょう。
ケースの底に深さ5cmくらいで、あまり押し固めずに敷くのがいいでしょう。
産卵させる場合は、ちょっと違うので後述します。
止まり木 or 木片 クワガタは、マットの上でひっくり返ると足をバタバタさせ、周りのものに足が引っかかったら、それを頼りに起き上がります。
引っかかるものがないと、足をバタバタさせ続けることで体力を消耗するのか、弱っていき、しまいには死んでしまいます。
そのようなことを防ぐためと、隠れ家とするため、また自然界に近い環境を再現するために、止まり木や木片を入れましょう。
止まり木は、配置を気を付けないとケースの蓋を破って脱走ということもあるので、必須ではありませんが、転んだときに足を引っかけるための木片(同じ役割を果たせるなら木じゃなくてもいいでしょう)は必要です。
どこで転んでもいいように、まんべんなく敷きましょう。
餌は、クワガタ用に昆虫ゼリーとして売られているものを与えれば、まず問題はないでしょう。
私が小学生のころは、スイカやメロンの皮、リンゴなどを与えていましたが、真偽のほどはわかりませんが、水分が多すぎて駄目なんだそうです。(リンゴはいいのかな?)
昆虫ゼリーには、高タンパクと謳われているものもありますが、これは主に産卵させる場合に効果があるそうです。私は、使い分けるのが面倒なので、いつも高タンパクゼリーを与えています。
ゼリーは容器に入れたまま、カッターなどで蓋に切れ目を入れただけの状態で、ケースに入れておきます。無くなったら補充するくらいでいいでしょう。♂の場合は、大アゴが邪魔になるので、ゼリーの容器ごと真っ二つに切るか、30gなど大きなゼリーを与えるといいでしょう。数日くらいは餌が無くても、簡単には死にませんが、あまりお勧めしません。
餌皿といって、ゼリーの容器がちょうど収まるような穴の空いたものも存在します。止まり木や足場を兼ねたりするので、餌皿を使うのもいいでしょう。
あとは、クワガタ自体を上記のケースに入れて、おしまいです。
トカラノコは、昼間でも結構活動しますし、見た目も綺麗なので観賞向きといえるでしょう。
30℃を超えないところ、できれば20℃台前半くらいの、直射日光が当たらない場所に置きましょう。
 
産卵させよう
もし♂♀のペアがいるなら、折角なので産卵させてみましょう。
基本的に上記の成虫飼育用セットで問題ありませんが、マットは専用の発酵マットを使いましょう。自作もできるようですが、専門店で購入するのが簡単です。
ノコギリクワガタやヒラタクワガタに産卵させるには、よく発酵したマットに水分を多目に含ませます。多目と言っても、ベチャベチャするほどは要らず、強く握って水が滲む程度でいいでしょう。
産卵木(これも専門店やスーパーなどで買えます)は、あってもなくてもいいようですが、私は入れています。産卵木は乾燥した状態で売られているので、1〜2時間完全に水没させて水分を含ませます。このくらいの時間であれば、陰干しせずにそのまま使えます。
ケースの底に、マットを堅く敷きます。中サイズのケースなら3〜5cmくらいでしょう。その上に産卵木を置き、すき間をマットで埋めます。すき間を埋めるのも、できるだけ堅く詰め込みましょう。産卵木が完全に埋まるか、少し見える程度になるまで、マットを入れます。
そして、餌と転倒防止の木片などと、成虫の♂♀を1匹ずつ入れれば準備完了です。
 
餌がなくなっていたら補充するだけで、あとはひたすら待ちましょう。
そのうち、ケースの側面や底面に卵が見え始めます。更にしばらくすると、卵が孵化して幼虫が見えてきます。
そのくらいになっても♀がまだ元気なら、別の産卵セットに移すか、成虫飼育用のケースに戻しましょう。卵や幼虫を潰してしまうことがあるからです。
2005年、うちのトカラノコ1ペアは、卵を60個以上産みました。ある程度はオークションなどに出して、よそへ貰われていきましたが、まだ数十匹は幼虫の状態で飼育中です。
ということで、幼虫の飼育へと続きます。
 
幼虫の飼育
上記の産卵セットなら、マットや産卵木がそのまま幼虫の餌となるため、幼虫が余程密集していなければ、しばらくそのままで飼育が可能です。
しかし、大きな成虫に育てようとするなら、個別飼育がお勧めです。
容積が1リットル前後あり、幼虫の呼吸を妨げない構造なら、容器は何でもいいと思います。うちでは、850ccの使用済み菌床瓶を使用しています。
容器に、産卵セットで使ったマットと同じものを堅く詰めます。容器の蓋とマットの間に、ある程度のすき間は確保しておきましょう。
詰め終わったマットの表面に、幼虫が収まるくらいの大きさで穴を掘り、その穴に幼虫の頭を突っ込むような感じで幼虫を入れます。しばらくすると勝手に潜っていきます。1つの容器に1匹ずつ入れていきます。
マットの場合、交換時期を見極めるのが難しいですが、3ヶ月に1回マットを交換するくらいの感じでよいと思います。
うちのトカラノコ達は、2006年2月現在3令幼虫です。暖房のない部屋で飼っていますが、結構活動しています。
 
ここから先は、どうなるかわかりません。無事に蛹、成虫と育ってくれるでしょうか。(実は1匹だけ2令幼虫からいきなり蛹になり、成虫になってしまった♀がいます。今は成虫の状態で休眠していますが、こんなこともあるんですね)
 
2006年5月7日、蛹化を確認しました。今後の情報は、トカラノコ飼育記に書いていきます。
 
2008年6月より、オークションで入手した中之島産F3の幼虫を飼育開始しました。
 
うちのトカラノコギリクワガタ
06トカラ♀
2006年5月27日。気付いたら羽化していました。うちのトカラノコ達は口之島燃岳産で、今年の虫はF2となります。
06トカラ♂
2006年6月10日。♂も羽化し始めています。
06トカラ♂
2006年7月。♂はこんな感じのが10匹以上いましたが、殆どオークションで手放してしまいました。