スマトラオオヒラタクワガタとは
スマトラオオヒラタクワガタ(以下、スマトラ)はインドネシアのスマトラ島に生息しています。
太く長く、迫力があり、気性も荒くて最初は怖いくらいです。オオクワなどは、人の気配を感じただけで隠れてしまいますが、スマトラは餌をあげようとする手に向かって、襲いかかってくる個体もいます。
スマトラ島の中でも、地域によって特徴があり、特に大アゴの内歯と呼ばれる突起の位置に違いがあります。
うちで飼っているのは、内歯下がりといって、内歯が大アゴの根元寄りにあるのが特徴の、アチェ産のものです。
クワガタ相撲などでも活躍しているようで、人気はありますが、増やすのが簡単で、希少価値はあんまりないようです。
こちらも例によってファンが多いので、色々なサイトで情報を得ることができます。
成虫の飼育
成虫を飼育するために必要なもの。
ケース 昆虫飼育用として売られているものであれば、問題ないでしょう。
体が大きいので、中サイズ以上が望ましいです。
マット 成虫を飼育するだけでしたら、クワガタやカブトムシ用のマットであれば、どれでもいいです。虫に害がなく、足場になったり潜ったりできるようなものであれば、何でもいいと思います。
トカラノコ同様、水分は多目がいいと言われていますが、マットを強く握ると、水分が滲み出る程度で十分でしょう。
ケースの底に深さ5cmくらいで、あまり押し固めずに敷くのがいいでしょう。
産卵させる場合は、ちょっと違うので後述します。
止まり木 or 木片 クワガタは、マットの上でひっくり返ると足をバタバタさせ、周りのものに足が引っかかったら、それを頼りに起き上がります。
引っかかるものがないと、足をバタバタさせ続けることで体力を消耗するのか、弱っていき、しまいには死んでしまいます。
そのようなことを防ぐためと、隠れ家とするため、また自然界に近い環境を再現するために、止まり木や木片を入れましょう。
止まり木は、配置を気を付けないとケースの蓋を破って脱走ということもあるので、必須ではありませんが、転んだときに足を引っかけるための木片(同じ役割を果たせるなら木じゃなくてもいいでしょう)は必要です。
どこで転んでもいいように、まんべんなく敷きましょう。
餌は、クワガタ用に昆虫ゼリーとして売られているものを与えれば、まず問題はないでしょう。
私が小学生のころは、スイカやメロンの皮、リンゴなどを与えていましたが、真偽のほどはわかりませんが、水分が多すぎて駄目なんだそうです。(リンゴはいいのかな?)
昆虫ゼリーには、高タンパクと謳われているものもありますが、これは主に産卵させる場合に効果があるそうです。私は、使い分けるのが面倒なので、いつも高タンパクゼリーを与えています。
ゼリーは容器に入れたまま、カッターなどで蓋に切れ目を入れただけの状態で、ケースに入れておきます。無くなったら補充するくらいでいいでしょう。スマトラの♂は意外と器用で、16gの小さなゼリーでも、蓋に切れ目を入れておくだけで綺麗に食べ尽くします。でも折角迫力があるので、30gなど大きなゼリーを与えたいところです。餌の消費は早いので、餌切れには十分注意しましょう。
餌皿といって、ゼリーの容器がちょうど収まるような穴の空いたものも存在します。止まり木や足場を兼ねたりするので、餌皿を使うのもいいでしょう。
あとは、クワガタ自体を上記のケースに入れて、おしまいです。
スマトラの成虫は、意外と寒さに強く、冬に暖房を付けず12℃くらいになる部屋でも、平気で活動しています。
夏は30℃を超えないところ、できれば20℃台前半くらいの、直射日光が当たらない場所に置きましょう。
 
産卵させよう
もし♂♀のペアがいるなら、折角なので産卵させてみましょう。
基本的に上記の成虫飼育用セットで問題ありませんが、マットは専用の発酵マットを使いましょう。自作もできるようですが、専門店で購入するのが簡単です。
ノコギリクワガタやヒラタクワガタに産卵させるには、よく発酵したマットに水分を多目に含ませます。多目と言っても、ベチャベチャするほどは要らず、強く握って水が滲む程度でいいでしょう。
産卵木(これも専門店やスーパーなどで買えます)は、あってもなくてもいいようですが、私は入れています。産卵木は乾燥した状態で売られているので、1〜2時間完全に水没させて水分を含ませます。このくらいの時間であれば、陰干しせずにそのまま使えます。
ケースの底に、マットを堅く敷きます。中サイズのケースなら3〜5cmくらいでしょう。その上に産卵木を置き、すき間をマットで埋めます。すき間を埋めるのも、できるだけ堅く詰め込みましょう。産卵木が完全に埋まるか、少し見える程度になるまで、マットを入れます。
そして、餌と転倒防止の木片などと、成虫の♂♀を1匹ずつ入れれば準備完了です。
 
うちでは経験ありませんが、スマトラの♂は♀を殺してしまうことがあるようです。交尾が確認できたら、♂は別のケースに引き離した方が安全かもしれません。
餌がなくなっていたら補充するだけで、あとはひたすら待ちましょう。
そのうち、ケースの側面や底面に卵が見え始めます。更にしばらくすると、卵が孵化して幼虫が見えてきます。
そのくらいになっても♀がまだ元気なら、別の産卵セットに移すか、成虫飼育用のケースに戻しましょう。卵や幼虫を潰してしまうことがあるからです。
2005年、うちのスマトラ1ペアは、卵を20個程産みました。
ということで、幼虫の飼育へと続きます。
 
幼虫の飼育
上記の産卵セットなら、マットや産卵木がそのまま幼虫の餌となるため、幼虫が余程密集していなければ、しばらくそのままで飼育が可能です。
しかし、大きな成虫に育てようとするなら、個別飼育がお勧めです。そして、餌は発酵マットより菌床の方が楽に大きくできるようです。
幼虫が小さいうちは、容積が1リットル前後あり、呼吸を妨げない構造なら、容器は何でもいいと思います。うちでは、850ccの菌床瓶を使用していした。
初めは、菌床瓶がなかったので、クワガタ用に売られている菌床瓶を買って使いました。個人的なお勧めは、メジャーどころなので、使っている方も多いと思いますが、フォーテックのG-potです。
菌床は、幼虫の食べ具合や劣化具合が比較的わかりやすいので、交換時期の見極めもしやすいです。
スマトラの場合、かなり劣化していても大丈夫で、瓶の中身が真っ黒になるくらいまで放って置いても結構育ちます。
でもさすがに瓶1本で成虫まで育てるのには無理がありますので、瓶が真っ黒くなる少し前に、次の瓶を調達しておきましょう。2本目以降は1,500cc以上が望ましいです。
2005年のうちの実績は、1本目を真っ黒まで引っ張り、2本目1500ccも真っ黒になっても我慢して成虫になるまで放って置いたら、♂で大体78mm〜92mm、♀で45mm以上の成虫になりました。
♀は十分な大きさです。♂も、親が85mmだったので、手抜きした割には大きくなってくれました。菌床瓶3本計画でいけば、もっと大きくできるかもしれませんが、オオクワに専念したいので、2006年も産卵させるかどうかは未定です。
 
2006年3月25日 結局、産卵セットを組んでしまいました。
 
うちのスマトラオオヒラタクワガタ
06スマトラ♂
2006年3月17日時点。左84mm、右90mm。♂は他に7匹いて、最大は92mm。